ベトナムの電気自動車市場は今後10年で急速に拡大すると見込まれていますが、大きな抵抗にぶつかることになります。

フィッチ・ソリューションズ傘下の研究機関BMIリサーチによると、2023年にはベトナムで電気乗用車の販売台数は少なくとも2倍(増加率は114.8%)の1万8000台に達すると予測されています。具体的には、純電気自動車(BEV)の販売台数は前年比104.4%増の1万7000台近くに達すると予想されます。プラグインハイブリッド車(PHEV)の販売台数は、前年比9倍の1100台近くになる可能性があります。

BMIは2023年から2032年までの10年間で、ベトナムの電気乗用車の販売台数は年平均25.8%増加し、2032年には約6.5万台の年間販売台数に達すると予測しています。evの浸透率は2030年までに13.6%となり、2022年から大きく飛躍します。スタティスタによると、ベトナムの2022年の乗用車販売台数は約28万4000台で、「そのうち数千台が電気自動車」です。

ベトナム自動車メーカー協会(Vietnam Automobile Manufacturers Association)によると、2028年までにベトナムの電気自動車の保有台数は100万台、2040年までには350万台に達すると予測されています。

成長エンジン

BMIは、「2023年から2032年までの予測期間中、ヴィンファスト、五菱宏光、シュコダ、現代ブランドの現地での電気自動車の生産量が市場の力強い成長を促進します」と明らかにした。

ベトナム電気自動車市場の成長の原動力の1つは、自国の電気自動車メーカーVinFastの出荷台数の伸びです。BMIによると、現在、ベトナムの電気乗用車市場はビンファストが主導しています。2022年にはベトナムにおける電気自動車市場のシェアが50%を超え、2023年には生産台数の拡大に取り組んでいます。

残りのシェアは中国ブランドです。このため、価格が庶民にやさしい中国産電気自動車の供給が増えれば、ベトナム電気自動車市場の発展にもつながると期待されています。BMIは、中国のブランド五菱紅光が所有する安価な小型電気自働車が、電気自働車の販売台数を伸ばすのに役立つ可能性があると指摘しています。五菱宏光Mini EVの販売価格は2億3900万ドン(10,065ドル)と発表されています。また、bydもベトナムに電気自働車や自働車部品を生産する工場を建設し、長城汽車も今年8月にベトナム市場に進出する予定です。

この調査会社は、東南アジア諸国連合(ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)の電気自動車生産台数の増加が、ベトナムの電気自動車販売台数の増加にも寄与すると指摘しています。今年1月、ベトナム政府は2027年末まで、他のasean加盟国の自動車輸入税を引き続き免除すると発表しました。

挑戦だらけ

とはいえ、BMIは、ベトナムの電気自動車の浸透率は、低所得とインセンティブの不足に引きずられると予測しています。ベトナム政府も様々な刺激策を試みていますが、まだ十分ではありません。それに比べて、ガソリンのほうが便利でコストも安く、魅力的です。ただし、バッテリーレンタルというビジネスモデルは、消費者が新しい電気自動車を購入する際にバッテリーをレンタルすることで、コストを下げることができます。BMIのレポートによると、この取り組みはますます多くのタクシー事業者を惹きつけるだろうという。

今年4月、タクシーチームを運営するグリーンSMは、ベトナムでVinFastの完全電動モデルを採用したタクシーサービスを開始しました。BMIは、「この措置は、他の地元タクシー事業者による同様の潜在的な措置とともに、ベトナムの消費者の電気自動車に対する認識不足を改善し、ベトナムでの電気自動車の普及を促進すると予想します」と述べた。

充電インフラもベトナムの電気自動車市場の成長を制限する可能性があります。現在、ベトナムの充電ステーションのほとんどは、電動二輪車、自転車、キックボードに対応しています。BMIは2023年から、より多くの充電プレーヤーが市場に参入し、さらに地元の電気自動車充電ネットワークの発展を促進すると予想しています。

地元の電気自動車充電事業者であるEBOOSTは、ベトナムにおける充電ネットワークの拡大と、より多くの充電スポットの展開を約束しています。また、ベトナム北部のクアンニン省に約2億5000万ドルを投資し、そのうち2億ドルは電気自動車の充電器や部品を生産する工場の建設に充てられ、2025年1月に操業を開始する予定だという報道もあります。これについてBMIは、「現地、さらには東南アジアでの電気自動車充電ネットワークの急速な拡大を促進することに貢献する」と述べています。

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